[時事寸語]= 高市サンに痛手

 適材適所はどこへ消えた▼政権交代ならぬ「連立交代」の衝撃が、永田町を駆け抜けた。26年続いた自公の蜜月に、あっけない幕が下りる。そして残された高市新総裁は、幕引きどころか開幕すらままならぬまま、政治劇の主役に押し上げられた▼「馬車馬のように働く」と唱えた彼女の決意表明は、皮肉にも今、その言葉の重みを自らに返している。組む相手を失い、支持基盤を揺るがせ、なお「全世代総力結集」と訴える姿は、歯車の噛み合わぬ歯車のようだ▼石破前首相の再登板を求める声すら上がるなか、政権の浮沈は次期臨時国会にもつれこむ。政党の運 ...

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[時事寸語]= 来月への不安とゆくえ

 退職届を出した日、空は晴れていた。皮肉にもそんな日だった▼長く勤めた現職から離れた。理由はいくつかあるが、決定打はなかった。ただ、静かに、確かに、自分の中の何かが終わったのだと感じた。ふとしたきっかけで、かつて働いた某社への復職話が持ち上がった。話は早かった▼九月の中旬には方向性が固まり、十月末までは出勤不要という妙な猶予が生まれた。この空白を、休息と見るか宙ぶらりんと見るか。最初は手放しで喜んだが、意外にも落ち着かない。働くことに慣れすぎた身体は、急に自由を与えられても、うまく使いこなせないらしい▼秋が ...

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[時事寸語]= 連立に三行半の公明

ひとつの時代が終わった。一九九九年以来、四半世紀続いた自公連立が解消された▼参院での数合わせに始まり、選挙協力を軸にした「現実的中道」は、やがて与党内唯一の抑制機能となった。公明党は「小さな声を政治に」と訴え、時に自民ににらみを利かせる存在だった▼だが、長年連れ添った夫婦に似て、いつしか慣れが慢心を生んだのかもしれない。企業献金の制限を求めた声に、「三日だけ時間が欲しい」と返された。夫婦喧嘩の言い訳にしては、あまりに通じない▼自民党内からも「怒るのは当然」との声が漏れた。「政治とカネ」の処理を誤った結果がこ ...

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[時事寸語]= 取材をやめた県紙神奈川新聞

 神奈川新聞が大川原化工機事件で五年もの間、取材を一度もせず記事を出し続けていた。取材なし、現場なし、FAX一本で未取材を認めるこの時代、記者倫理はどこへ消えたのか。しかも「関係者が誰かわからない」と、報道機関の本分を自ら棚上げする始末だ▼警察の発表と共同通信の配信だけを根拠に「地元紙」を名乗ることの空虚さ。取材もしないで記事を作り、しかも「担当者がいないので答えられない」という創作コメントまで登場。事実確認も、現場の息吹も届かぬまま紙面は埋まっていく▼「県紙」の矜持とは本来、地元の事件には現場で向き合う姿 ...

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[時事寸語]= 自公連立の熟年離婚

 歴史の歯車が一つ、静かに逆回転した。公明党が自民との連立を解消し、「白紙に戻す」と宣言したのである。四半世紀続いた与党の一角が、みずから政権の座を離れる。その光景は、あたかも長年連れ添った伴侶が、ようやく離婚届に判を押したかのようだ▼一九九九年、政権安定を願って結ばれた自公連立は、以来26年、選挙協力と議席配分の知恵を駆使しながら続いてきた。時には信仰の理と現実政治の狭間で葛藤しつつも、「平和の党」は保守政権の“補助輪”として粛々と働いた。その補助輪が外れた今、政権の自転車は真っすぐ走れるのか。いや、むし ...

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[時事寸語]= 高市サンと森友の神隠し

 「働いて、働いて、働いて」。高市新総裁の言葉は「希望」よりも「疲弊」の響きを強めた。全員に馬車馬のように――その精神主義は昭和への回帰か、はたまた新しい時代の皮肉な始まりか。過労死弁護団や遺族からは「命を守る気持ちがない」との批判がやまない▼政府は長らく「健康第一」「働き方改革」を掲げてきた。しかし、リーダーのひと言が現場に新たな「無言の圧力」を与え、また長時間労働やパワハラが正当化されていく。SNSでは「決意表明」と擁護する声も目立つが、総理の言葉が社会に与える影響は計り知れない▼森友学園問題では、ごみ ...

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[時事寸語]= 東急田園都市線脱線事故

 深夜の東急田園都市線で、回送列車と普通列車が衝突し、脱線――。幸い負傷者は出なかったが、翌朝の駅には慌てた通勤客があふれた。事故の発端は、見習い運転士によるうっかりミスだったという。鉄道会社も「ワンマン化」で人手不足を補う時代、いまや列車の安全は“熟練の感覚”から“システムの隙間”へと移りつつある▼規定速度を超えた信号を受け、回送列車は所定より手前で止まり、最後尾が進路にはみ出す――教科書通りの「ヒューマンエラー」だ。だが、現場の車掌や助役の「目と声」はすでに過去のもの。コスト削減と効率化の大号令のもと、 ...

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[時事寸語]= 与党か野党かわからぬ政党

 与党と野党の境界が、またしても霞み始めた。自民党新総裁の高市早苗氏が就任すると、連立拡大の本命は日本維新から国民民主党へ。与党も野党も「政策の親和性」を掲げて握手を交わす。「建設的野党」とは、建設現場で与党の足場を組むためにあるのだろうか▼国民民主の「政策実現のために協力を惜しまない」という美名のもと、法案や予算案ごとに寄り添う姿勢が強調される。だが、気がつけば自民党の掲げた政策も、野党の主張も、差異は縮まり、声の調子まで似てきた。「連立入りは慎重」と言いながら、「要請あれば応じる」と扉は開け放たれている ...

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[時事寸語]= 取材なしで究極の合理化? 神奈川新聞 

 「取材せずとも記事は書ける」――これが現代報道の新基準なのだろうか。神奈川新聞が大川原化工機事件をめぐり、一度も現場に足を運ばぬまま記事を掲載していたことが明らかになった。「警視庁管内だから共同通信の記事を使った」との説明は、新聞の看板をどこかに置き忘れたかのようだ▼「関係者が誰を指すのかわからない」とは、取材源の秘匿どころか、取材そのものの放棄に近い。挙句、「当社はマスコミ不祥事にはあたらない」と胸を張る。自ら使命を投げ捨ててなお、「不祥事ではない」と言い張る姿は、もはや喜劇の域だ▼逮捕報道には飛びつく ...

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[時事寸語]= TOKYOの鉄の女の「働き方」

 高市早苗氏が自民党新総裁に就任した。「TOKYOの鉄の女」と呼ばれ、強いリーダー像が期待されるが、その口から出たのは「ワーク・ライフ・バランス(WLB)を捨てる」という言葉だった。昭和の働き方を彷彿とさせる宣言に、祝福の拍手もどこか乾いて響く▼高市氏は「働いて、働いて、働いて、働いて、働いていく」と繰り返した。過労死防止法が全会一致で成立した国の新しいリーダーが、「馬車馬のように働け」と言う時代錯誤な姿勢を示す。かつての右傾姿勢と重ね合わせると、その“強さ”が何を守り、何を壊すのか問わずにはいられない▼遺 ...

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