[時事寸語]= 与党か野党かわからぬ政党

[時事寸語]= 与党か野党かわからぬ政党

 与党と野党の境界が、またしても霞み始めた。自民党新総裁の高市早苗氏が就任すると、連立拡大の本命は日本維新から国民民主党へ。与党も野党も「政策の親和性」を掲げて握手を交わす。「建設的野党」とは、建設現場で与党の足場を組むためにあるのだろうか▼国民民主の「政策実現のために協力を惜しまない」という美名のもと、法案や予算案ごとに寄り添う姿勢が強調される。だが、気がつけば自民党の掲げた政策も、野党の主張も、差異は縮まり、声の調子まで似てきた。「連立入りは慎重」と言いながら、「要請あれば応じる」と扉は開け放たれている▼「与野党連携」と聞こえはいいが、反対のための反対を避けるうちに、反対意見自体が忘れ去られる。健全な議論よりも、効率よく成立する法案。折衷案が積み上がるごとに、誰のための政治か、答えは霞の向こうに消えていく▼組合幹部や支持母体からは「のみ込まれるな」と警戒の声があがる。それでも「建設的野党」は「現実路線」と唱え、与党の輪の中へ。時に是々非々を掲げ、時に「部分連合」という名の部分的与党化。気づけば、「野党らしさ」は標準仕様からオプションになってしまった▼国民の期待は、与党の暴走を食い止める強い野党の存在にあったはずだ。だが現実は、「協力し合う政治」のもとで緊張感も対立軸も失われる。議事堂の空気がぬるくなり、国会のやり取りは「談合会議」のように穏やかだ▼「建設的野党」という言葉の裏には、「反対しない野党」「批判しない野党」の響きがある。政権の安定のための潤滑油に甘んじるか、それとも本気で「国民のための壁」になれるのか――野党の存在理由が、いま再び問われている。

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