[時事寸語]= あきれた愚の骨頂「財務省解体」

[時事寸語]= あきれた愚の骨頂「財務省解体」

 財務省を解体せよ、と勇ましい声が上がる。なるほど、確かに増税や緊縮財政は国民に優しくない。だが、だからといって病気を治すために医者を追放するような話が、果たして「改革」と呼べるのだろうか▼財務省は、確かに無愛想な組織である。「カネがない」とばかり言い続け、政治家の夢も国民の希望もバッサリと切り捨てる。だがその役目は、国家財政にブレーキをかけること。嫌われて当然の職務である▼今、その嫌われ者を解体すべしという論調がにわかに熱を帯びている。SNSに焚きつけられ、ついには財務省前に市民が集う。きっかけは「百三万円の壁」かもしれないが、怒りの矛先がなぜか組織そのものに向かうあたり、まるで虫歯に腹を立てて歯医者を殴るような筋違い▼報告書は冷静に警告する。財務省を解体すれば、国の財布を預かる手が消える。誰が予算を組み、誰が借金を返し、誰が国際交渉に臨むのか。答えがないままの「解体」は、制度の自爆装置である。感情が制度を壊し、壊れた制度が感情をさらに煽る。この悪循環は、まさに国家的「愚」だ▼地方財政も危うい。交付税は止まり、自治体は放漫財政に走る。借金まみれの地方が次々と沈む様は、中央が崩れて瓦礫となる前哨戦となろう。誰の生活も守れぬ国家に、怒りは向かわないだろうか▼「解体」ではなく「再構築」が必要だ。不信を理由に壊すのではなく、信頼を回復するために修繕すべきなのだ。制度とは人間の知恵の結晶であり、それを感情の炎で焼き尽くすことほど、後悔を呼ぶ選択はない。

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