[時事寸語]= 裏金内閣の行く末

[時事寸語]= 裏金内閣の行く末

 裏金が、政治を動かす燃料になった▼高市内閣が発足して間もないというのに、登用されたのは「裏金議員」たち。副大臣や政務官に七人、党要職にも八人。総務部会長から改憲本部長まで、名簿のどこを見ても旧安倍派の影が濃い。国民が忘れたふりをするのを待っていたかのような、堂々たる復権劇である。説明責任は果たしたというが、「知らなかった」「秘書がやった」で幕を閉じるなら、どんな不正も決着済みになる▼「適材適所の人事」と官房長官は言った。確かに、金を扱うには慣れた人材かもしれない。だが、扱うのは公金であり、裏金ではないはずだ。政治資金を記載し忘れた者が、今度は国家予算を執行する。これほど大胆な人事を「問題ない」と言い切る感覚こそが、政治の腐敗を象徴している▼かつて「政治とカネ」を糾弾した党の姿は、どこに行ったのか。派閥の解体も、調査の再開も中途半端なまま、世論の熱が冷めるのを待つ政治。結局のところ、「有権者が許した」と言い張れば、どんな不祥事も再任できる。選挙は免罪符ではない。信任は、記憶を消す許可証ではないのだ▼この国では、裏金の額よりも、言い訳の巧みさが出世の条件になった。秘書の責任にして笑う者が、閣僚を名乗る。処分を受けた者が、処分を下す側に立つ。国民の政治不信を「想定内」と言って済ませる政権の末路は、想定外に早く訪れるだろう▼高市首相は「決着済み」と語った。だが、決着をつけたのは法でも国民でもなく、当事者たち自身だ。まるで密室での“自己完結政治”である。裏金が乾けば、また新しい金が流れ込む。政治の透明化を掲げるなら、まず自らの懐を明かすことだ▼「信頼回復」を口にする政治家ほど、信頼を失っている。裏金の闇は、もはや事件ではなく構造そのものだ。高市内閣が本当に国を導く気があるなら、まずその闇に光を当てよ。さもなくば、次に決着するのは「政権」そのものである。

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