外国為替管理法の疑いで逮捕され、その後異常な勾留請求を東京地検が繰り返し、幹部一名が死亡したうえ、起訴後に起訴を取り消したいわゆる“大川原化工機えん罪事件”をめぐり、同社のある神奈川新聞社が、事件後から一度も取材していない可能性が高いことが五日、関係者への取材でわかった。同社は取材に対し、「関係者が誰を指すのかわからない」などといい、報道機関の大原則ともいえる取材源の秘匿を自ら破ろうともした。
◇ 逮捕から起訴まで一度も取材なし?
同事件は令和元年、同社代表取締役社長大川原正明さん、島田順司さん、相嶋静夫さんら計三人が警視庁公安部外事五係に逮捕され、計約十一か月もの間東京拘置所に勾留され、同法違反の疑いで東京地裁に起訴されたあと、起訴取り消しとなったもの。この事件をめぐり、神奈川県内で最大級の新聞社「神奈川新聞社」(須藤浩之社長、横浜市中区)が一切取材しないまま記事を掲載していたことが判明した。さらに同新聞社は、事件発覚から一度も取材していないという関係者の談がある。
◇ 「事件が警視庁管内」 「関係者が誰を指すのかわからない」

大川原社の関係者の話では、同新聞社は令和元年の事件発生直後から一度も取材がなく、さらに勝手に勝手に「関係者がいないのでわからない」というコメントを掲載されたという。同社にFAXで質問状を送ったところ、「関係者が誰を指すのかわからない」として事実上の取材源の開示を迫ったうえで、「当社は海外、政府、スポーツ関係は共同通信から配信を受けている」、「捜査主体が警視庁のため共同通信の記事を使った」と明らかにした。また、記事ねつ造の疑惑については、「現段階ではコメントできない」という文言も共同通信社の配信記事の責任に帰した。
◇ 県紙の意味喪失 関係者談
同新聞社は神奈川県内で十五万部を発刊する日刊紙で、共同通信社に加盟している。あるマスコミ関係者は匿名を条件に、「県内で起きた事件に管轄の違いはない」としたうえで、「県紙が自分の県で起きた出来事を取材できないのは言語道断で、これでは新聞の存在意義が疑われる」。「同じ横浜市内に関係先があるのに、電話の取材すらできず、今日に至るまで連絡すらしないのは新聞社の使命を放棄しているし、誰が相手でも取材源の開示ととられる言い回しをするのは話にならない」と話していた。同新聞社は「共同通信社の記事を使っただけなのでマスコミ不祥事にはあたらない」と話している。

