年末の足音とともに、警察の不祥事もまた静かにやってくる。イルミネーションが街を照らすころ、全国の警察署では「反省文」と「再発防止策」が書き慣れた手つきで量産されている。もはや歳末の風物詩。カレンダーの最後のページに、不祥事報告が並ぶ光景はもはや恒例行事だ▼岩手県では、銃所持許可の調査書を“架空面接”でねつ造した若手巡査と、実況見分を“立ち会っていないのに立ち会ったことにした”ベテラン警官がそろって書類送検。本来、事実を積み上げるのが仕事のはずが、現実を創作していた。事件の真相よりも、報告書の完成が優先される。まるで真実を扱う組織が、虚構を「業務効率化」の一環として受け入れているようだ。県警首席監察官は「職務倫理を高めるため指導を行う」と述べた。倫理を“高める”とは、倫理がもはや地面の下に埋まっているという告白ではないか▼一方、三重県警では「公文書の誤廃棄・紛失」が今年度で五件目。今度なくなったのは、緊急自動車指定証――つまり、警察車両が赤色灯をつけて走るための“許可証”そのものだ。原本を紛失し、残ったのは複写だけ。これで「外部流出はない」と胸を張る。いや、そもそも原本がない。流出以前に、管理そのものが存在しない。「相互確認を徹底し、再発防止に努める」とのコメントは、もはや自動送信メールのようだ。受信者は誰も読まない▼全国で似たような「再発防止」が繰り返されている。不祥事が起きるたびに“倫理教育”を宣言し、翌月には別の署で別の事件。組織全体がまるで「不祥事対応マニュアル」を年次更新しているかのようだ。市民は「またか」とため息をつき、報道は淡々と伝える。驚きが消えたとき、それはもう事件ではなく文化だ。「ねつ造」「紛失」「誤廃棄」。警察という名の官僚装置が、信頼という言葉を一枚ずつシュレッダーにかけている▼こうして、二〇二五年も暮れていく。年末特番の裏で、各地の監察課では処分一覧が整理され、謝罪文が印刷される。それもまた恒例の“年の瀬業務”。紅白のトリが歌うころ、全国の警察は静かに「来年こそ信頼回復に努める」と誓う――そう、毎年、同じ台詞で。そして、翌年の今頃にはまた新しいニュースが届く。「警察官、書類ねつ造で処分」「公文書紛失、再発防止へ」。この国では、不祥事こそが警察の最も安定した年中行事なのだ。

![[時事寸語]= 歳末の警察不祥事](/image/template-header.jpg)