裏金、上限超過、寄付未記載――またか、という言葉しか出てこない。十二月の幕開けとともに、この国は「第一次高市裏金内閣」という名の喜劇を迎えた。高市早苗首相と小泉防衛相が、企業から法律で定められた上限を超える寄付を受けていたという。返金したから問題ない?それは万引き犯が「気づいたので商品を棚に戻しました」と言って許される論理だ。政治資金規正法の趣旨は、金の流れを制限し、政治を浄化することにある。金額の帳尻合わせで済む話ではない。首相自らがその倫理を踏みにじる――これ以上の腐敗の象徴があるだろうか▼しかも同じ日に、山下貴司元法相の政治団体が寄付金二百万円を不記載にしていたことも発覚。もはや偶然ではない。制度疲労どころか、倫理の壊死だ。自民党という組織は、金がなければ息もできない。裏金事件を経ても誰も辞めず、反省の言葉を並べるだけで「再発防止」を唱える。だが現実には、裏金の“再生産”こそがこの政権の生命線なのだ。金で政治を動かし、金でメディアを黙らせ、金で国民を納得させようとする。理念は枯れ、責任は逃げ、残ったのはカネだけ▼そんな中、首相はサウジの投資ファンドに向かって「いいから黙って全部私に投資しなさい」と叫んだ。人気漫画のセリフを拝借して、国家の財政を“ネタ化”するあたり、もはや政治ではなくバラエティである。危機管理投資、AI、防衛――聞こえは立派だが、実態は外資依存のカネ集め。国内では金を隠し、海外では金を乞う。裏金と外貨の両輪で動く「金権国家ニッポン」。それを率いるのが、国民には倹約を説き、企業献金には寛大な“裏金首相”である▼そして、そんな人物に「緊急事態条項」を託そうという財界の厚顔。憲法に“権力の非常ボーナス”を加えようという提案に、首相は「同じ思いだ」と即答した。裏金がバレても憲法に手を伸ばす――それが「第一次高市内閣」の正体である。非常時を口実に、政治とカネの問題から逃げる算段は見え透いている。災害対応でも感染症でもなく、真の緊急事態はこの政権そのものだ。権力の私物化を合法化しようとする勢力に、誰が“緊急権”を与えたいと思うだろうか▼自民党が腐りきった理由は単純だ。国民が怒りを忘れ、野党が追及を怠り、メディアが茶化して済ませるからだ。裏金を暴く記者は減り、批判を恐れる議員ばかりが増える。高市政権はその延長線上にある。派閥の裏金、企業の超過献金、そして首相の“投資呼びかけ”――すべてが金で結ばれたこの構図こそ、「第一次高市裏金内閣」の骨格だ。政治の清廉さを求める声が弱まるたびに、彼らは金の袋を膨らませる。いま問われるのは、誰が裏金を作ったかではない。――この国が、いつまで裏金に支配され続けるのか、である。

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