金の匂いがするところに、いつも政治の腐臭が漂う。高市早苗首相の政権下で「政治とカネ」は、もはや国の恒常疾患だ。防衛費をGDP比二%へ――この数字の達成を「前倒しの成果」と胸を張るが、その裏では裏金まみれの与党が、非公認候補にまで“支援金”をばらまいていた。萩生田光一、平沢勝栄、小田原潔――派閥裏金事件で処分を受けた面々に、各五百万円。さらには党本部から二千万円を支給された者が七人。表では「政治改革」、裏では「政治還流」。金の流れを止める気など、最初からなかった。これを「政治資金」ではなく「政治腐敗」と呼ばずして何と呼ぶのか▼しかも首相はその最中、「防衛費二%を達成した」と自慢げに発表した。防衛省に八千億円、関連経費を合わせて一兆千億円。金は湯水のように流れる。どこへ? 企業献金を受ける重工業、軍需関連、天下り先のシンクタンク――その先にいるのは国民ではなく、政治の金主たちだ。安全保障を口実にした金権政治。もはや「国を守る」ではなく「既得権を守る」予算だ。しかもその防衛装備品を誰が納入するか、誰が調達を仕切るか、すべてが政官財の見えない糸でつながっている。血税を燃料に動く巨大な政治機構。これを“国家戦略”と呼ぶのだから恐れ入る▼一方で文化の火は次々と消されていく。上海では大槻マキが「ONE PIECE」を歌う最中に照明を落とされ、強制退場。浜崎あゆみも、ももクロも中止。文化を断たれたのは、軍拡を優先する政治の副作用だ。防衛予算には兆単位の金を注ぎながら、国際的な文化交流が失われても首相は無言。日本が世界で尊敬されてきたのは、ミサイルではなく、文化だったはずだ。だが“防衛”の名の下に、国際的な信頼と交流を犠牲にした。金で国を固め、金で友を失う――これが高市政権の外交哲学である▼さらに皮肉なのは、そんな中で高市首相が「基礎研究への投資を拡充せよ」と指示したことだ。研究者たちは喜ぶだろうか。いいや、笑うしかない。彼女の言う「科学技術」とは、防衛と産業の“利権の苗床”であり、真の基礎研究ではない。大学の研究費が削られ、若手が去る一方で、「安全保障上の要請」に応える研究だけが潤う。科学までも金の論理に屈する国。それを「戦略」と呼ぶ指導者の姿が、この国の知をどれほど貧しくしているか▼高市早苗の政治とは、“金を配る力”であり、“金で支える体制”だ。裏金を非難せず、予算を誇り、研究費で支持を固める。すべてが金で動く国家機構を、彼女は「改革」と呼ぶ。だが、そこに理念も倫理もない。あるのは政治を食い物にする古びた体質の再生産だけだ。――金が流れるほどに、信頼は失われる。防衛も科学も、裏金も、すべてが一つの歯車でつながっている。「早苗サンの金権政治」とは、国を守るふりをして、国を食いつぶす装置そのものなのである。

![[時事寸語]= 早苗サンの金権政治](/image/template-header.jpg)