高市早苗という人物の外交センスを「害交」と呼ぶのが最も的確だろう。台湾有事発言で国際社会を敵に回し、その後の火消しすらできずに、あらゆる分野で“日本外し”が進行している。G20では中国との接触はゼロ。毛寧報道官からは「日本が誠意を示す行動を取るべき」と冷たく突き放され、香港は青少年交流を中止。中国本土では日本映画やアーティストのイベントが軒並みキャンセル。国交正常化から半世紀を超えて築いてきた民間の交流を、一人の政治家の軽口がここまで壊した。外交とは積み上げるものだが、高市流の外交は壊すことでしか存在感を示せない。彼女にとって国際社会は対話の場ではなく、敵を作って国内支持を固めるための舞台装置にすぎない▼中国は国連でも「日本は侵略を反省せず」と攻撃し、アジア諸国への書簡まで配布。日本が戦後何十年もかけて回復してきた信頼を、一瞬で吹き飛ばした。これを「毅然とした姿勢」と呼ぶなら、もはや言葉の意味が崩壊している。外交とは“利害の調整”だが、彼女のそれは“感情の発散”だ。プライドと憎悪が先に立ち、理性と計算はどこにもない。そのくせ「自由で開かれたインド太平洋」と繰り返す。開かれているのは口だけで、国際社会の扉はどんどん閉じていく▼さらに皮肉なのは、米国すらも距離を取っていることだ。トランプ大統領は習近平と電話会談を行い、日中の対立には一切言及せず。「G2(米中)で平和を築く」とまで言ってのけた。つまり、同盟国の日本ではなく、中国との関係を優先したのだ。高市の言動は、結果的に日本を“孤立の中継点”にしてしまった。アメリカも中国も、日本を仲裁の場とは見なしていない。今や日本は、世界の真ん中どころか、外交の蚊帳の外にいる。これが“強い日本”の現実である▼日本文化すら外交の犠牲となった。クレヨンしんちゃんの映画が延期され、ゆずのコンサートも中止。中国外務省は「原因は高市首相の発言にある」と断言した。まさか首相の失言で国民の娯楽まで奪われる時代が来るとは思わなかった。かつて“クールジャパン”と呼ばれた文化外交は、いまや“クールアウトジャパン”である。映画館のスクリーンよりも、世界の目のほうが冷たい。外交の緊張感を、まるで芸能スキャンダルのように扱う政権。そこにあるのは国家戦略ではなく、単なる自己演出の延長だ▼高市早苗という人間が残すのは、国際的な信用の瓦礫である。彼女の外交は、戦略の名を借りた自己陶酔、国家の仮面をかぶった個人の感情表現だ。強気の言葉が外交を形作ると思っているうちは、何度でも同じ失敗を繰り返す。日本は今、世界に向かって堂々と「自滅」を実演している。これが「害交」――すなわち“国を害する外交”である。もし歴史が冷静にこの時代を振り返るとき、「高市早苗政権」とは、日本が外交を失った時代として記されるに違いない。

![[時事寸語]= 国際的「害交」の早苗](/image/template-header.jpg)