
労働者側にとって頼みの綱ともいえる労働基準監督署(労基署)ーー。ですが、残念ながら申告を門前払いされたり、申告させず「相談」として処理しようとするきらいが目立ちます。かくいう編集者の私もそのような経験があったことから、労基署へは「申告書」を自作したうえで訪問するようにしています。
実体験・動かすために必要な4要件
本来であれば、すべての申告を対応してもらうのが理想ではありますが、現実的にはなかなか難しい場面もあり、すべてを否定するわけではありません。彼らを動かすためには、ある程度の証拠を揃えて申告するのがベストです。まずもって、次の要件を確認してください。
1は、本末転倒なのですが、こちらの言い値では労基署は動こうとしません。そのため労働基準監督官(監督官)が動きやすいよう、証拠を用意していくのがベストです。例えばみなし残業でもないのに残業代が1円も支給されないという場合であれば、手当のすべてがみなし残業でないとわかる証拠が必要です。この場合には、雇用契約書の写しか、労働条件通知書の写しと、手当のわかる給与明細の写しをもっていくべきでしょう。
2は先ほどの項目にもつながりますが、何かと説明するのにあたって不便するので、給与明細を必ず6か月分用意します(入社して数か月であれば手元にある給与明細すべて)。
3は雇用契約書の写しです。もしメールでの労働条件通知だったり、SMSなどでの条件通知だった場合はそのメールを写した証拠を作成しもっていきます。
最後に4ですが、「相談」と「申告」は大きな差があります。相談の場合は単なる労働相談と扱われ、アドバイスをもらって終わってしまうのが関の山です。まず、労基署はよほど繁忙期でなければ監督官が必ずいます。なので、これら証拠を揃えたら、必ず「相談ではなく申告に来た」。「方面の監督官に用事がある」とはっきり伝えてください。
申告書を書くときは、「申告の趣旨」と「申告に至る経緯」を必ず書きます。訴状を書く感じをイメージしてください。とはいえ、実際には訴状ほど様式の厳格さを求められるわけではありませんし、実際には労基署で別途申告書を書かされるのですが。とはいえ、様式が整っていて、論点が整理されていて、かつ違法の疑いがあるケースであれば監督官は動きやすくなります。
労基署ではできないことはいくつかあります。例えば労基署は労働者の窓口代理にはなってくれませんので、未払い賃金の請求や残業代請求までは行ってくれません。それらの相談をするのであれば、労基署による臨検が行われ、是正勧告などの処分が行われたことを確認してから、自ら経営側に申し入れるか、都道府県労働局、弁護士、労働組合などの組織に相談してください。
申告書は、Word形式とPDF形式を両方用意しました。