
職業紹介大手マイナビの調査では、2024年上半期に退職代行サービスを利用された企業は23.2%に上り、2023年(19.9%)から増加しています。即日退職が可能で、面倒な連絡もすべて代行業者が行うということでその需要は高まる一方です。しかしながら、退職代行の料金は約1万円から3万円と開きがあり、さらに現時点では法的な位置付けもありません。それに、あくまで「使者」(本人に代わって意思を伝える者)という位置付けのため、例えば未払い賃金の請求を代行業者を通じて行うとか、労使トラブルを解決してもらうということはできません(非弁行為になるため、違法です)。実際のところ、単に連絡を取りたくないというのであれば、連絡方法を指定したうえでこちらから直接退職の意思を伝えるだけで十分です。
仮定の計算ですが、例えば退職代行の金額が1万円とします。しかし自身で退職届や引継書、返却などを行ったらどうでしょうか?計算の前提として電子メールなどの通信費は含みませんが、まず、退職届はFAXやメールでの提出も有効とされています。メールの場合はもちろん送るだけなので無料です。FAXも、インターネットFAX(Fax Plusなど)を使えば無料で送ることができます。仮にその後、配達証明付き書留郵便(速達付き)で送ったとしても、1240円(基本料110円+速達250g300円+一般書留480円+配達証明350円)です。さらに貸与品を宅配便で返送したとして、ヤマト運輸80サイズ1230円ですから、合計金額はわずか2470円で済みます。多く見積もっても3000円もあれば十分事足ります。
ここが大きなポイントですが、あくまで民間の退職代行は使者でしかありません。弁護士であれば代理人となることで本人および家族への連絡を防ぐことはできますが、代行の場合は「本人は家族には連絡しないでほしいと言ってる」と伝えるだけなので、そこに法的拘束力はありません。連絡されるときはされます。それに、苦情を申し出たところで後の祭りですし、特に対応が変わることもありません。ますます自分でやるべき理由になります。
一番やってはいけないのは、無断欠勤や音信不通です。多くの会社の就業規則には、無断欠勤から14日程度で解雇する旨が記載されていますが、音信不通が原因で会社に損害が出た(例えば進行中の案件がストップしたことにより契約が破談になったなど)場合、損害賠償を請求される可能性があります。また、音信不通は会社にとって、緊急連絡を行う大きな理由になりますし、最悪自宅訪問されます。なので絶対にやってはいけません。
まず、誠意がある旨を押し出す必要があります。例えば明日からもう行かないという場合でも、業務が残っていることは確実でしょうから、必ず退職届を何らかの方法で送ります。FAXでもメールでも構いません。退職の意思を表示する必要があります。最終出勤を何月何日と記載したうえで、以降のやり取りはメールやFAX、郵送に限定する旨を記載してください。退職届を送った時点で、労働契約の解約申し入れは完了しています。あとは残務の引き継ぎ方法を指示してください。この場合、簡単な引き継ぎ書を作るのも良いでしょう。
勘違いされやすいのは、正社員と比べて契約社員や派遣社員は退職が困難というものです。しかし、ここには大きな抜け道があります。民法628条には「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う」と定めています。わかりやすく言うと、「やむを得ない理由があれば途中で契約を解除できる。ただし過失があって辞める場合は損害賠償の責任を負う」というものです。ですので、「家族の介護が必要になった」とか、「精神的に病んでしまった」、「急遽帰省しなければならなくなった」といえば、やむを得ない理由となります。ただし「損害賠償の責任」を負わないためにも、速やかな引き継ぎなどは重要になってきます。そこで先ほどの引き継ぎ書などを用いて重要な内容や案件を迅速に引き継いでもらいます。
会社によっては指定の様式がありますが、民法627条1項または628条に基づけば、当事者の解約の申し入れがあった場合、これを断ることは原則できません(雇用契約の解除を通告しているので会社の承諾は不要です)。今回、退職届と業務引き継ぎ書、退職後の連絡先をセットにした様式をWordとPDFにて配布します。
PDF版は例となります。参考としてください。